平成26年8月15日の新聞報道(敷金について民法改正)

敷金返還の問題

『法相の諮問機関である法制審議会で、賃貸住宅の「敷金」に関するルールの明文化が盛り込まれているこ とがわかった。敷金の定義や敷金返還については現行民法に明確な規定がなく、トラブルの原因になっていた。改正によって、退去時に借り主が家主の“言い なり”になる不合理が減ることになりそうだ。』

という趣旨の報道がありました。既に敷金については「国土交通省のガイドライン」が事実上の法的規定になっていますから、専門家・プロはもちろん他にも多くの人が知っています。
それでも、敷金返還についての相談は多いです。(注:平成276年8月時点です。)

通常の使用による損耗(傷みや汚れ)、経年劣化の費用は家賃に含まれるので、賃借人(借主)は退去時に元のようにきれいに戻したり、古くなった部分を新品に交換していく(交換費用を負担する)必要はないことは、いまさら民法に書かなくてもほぼ疑いの余地がありません。

それ以外に、

  • 破いてしまった壁紙の部分を1平方メートル程度交換すると、他の壁紙と色が違って見栄えが悪いから全部取り替えるだけの費用を借主が支払わなければならないとか、
  • 玄関の鍵と錠は安全のため付け替えるのは賃借人の義務だとか、
  • 賃借した住居の汚れ具合に関係なく、退去時に賃借人がハウスクリーニング代を支払うとか、
  • 入居時に室内を消毒し、退去時に消毒する費用を、すべて賃借人が負担したり、

ということがよくあります。
これらについては、国土交通省のガイドラインを参照するのが普通で、すぐにわかることです。

もっとも、あくまでもガイドラインであって、強行規定(強制)ではないということはあります。ですから、今回、民法に記載しようという動きは歓迎すべきだと思いますが、たとえば鍵の交換とかハウスクリーニングなどまでは書かないようです。

それで敷金の問題が減少するかどうかは疑問だと思います。
入居時の不動産賃貸借契約の際に、

  • 『ハウスクリーニング代を支払うことや、鍵交換・消毒などをするように特約を締結すれば貸主の思うようになる』

ということもいわれています。実際は、これについても必ずしもそうとはならないのですが、民法の規定にはありません。一般の人が内容証明郵便をきちんと書いて、貸主や業者に主張できるでしょうか。

民法の改正が実現すれば、本当に、ほんの少しだけ進歩するかもしれませんが、まだまだ不十分だと思います。

敷金返還請求で困っている賃借人さん(入居者さん)にひとこと言うとすれば、『あきらめないで、頑張ってください。』ということです。

  • 「数万円のことだから、我慢しよう。」
  • 「家主さんと争うのは気分が悪いから、請求されただけ全額支払う。」

という人が結構おられますので、そうするとなかなか世の中の事情は変わらないと思います。

 

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